参観日、運動会、個人面談… 平日に開催されることも多いこれらの行事は、シングルマザーとして働く私にとって、毎回がミッションでした。
「私が休んだら、他の人に迷惑がかかる」 「でも、息子の行事を見てやれるのは、世界で私しかいない」
この板挟みの中で、私が最初に迎えた「平日参観日」。 私は、仕事の調整を甘く見ていたせいで「大失敗」を犯しました。 申請が遅れ、結局「中抜け」させてもらったものの、教室の後ろでひっきりなしにかかってくる会社からの電話に対応し、息子の姿などほとんど目に入りませんでした。
あの日の「母親失格だ」という自己嫌悪と、「仕事も中途半端だ」という焦燥感。 もう二度とあんな思いはしたくない。 その一心で編み出した、私の「先手計画」と「当日テンプレ」のすべてを、失敗談と共にご紹介します。
私の失敗:「年間計画」を怠り、信頼を失いかけた日
なぜ「先手」が必要なのか?
「行事なんて、1ヶ月前に言えば休める」 そう思っていた私は、息子の初めての運動会(平日開催でした)で、キャリアの危機を迎えました。
社内の繁忙期と重なることを知らず、1ヶ月前に半休申請を出したところ、上司に露骨に嫌な顔をされたのです。 「悪いけど、その日休まれると、チーム全体が止まるんだけど」 「シングルマザーだから優遇される」とは思っていませんでしたが、あの時の冷たい視線は、「私の代わりはいても、息子の母親の代わりはいないのに」と、悔しくてたまりませんでした。
この失敗から、私は「信頼されるための先手計画」こそが、シングルマザーの生命線だと痛感しました。
私が実践する「先手」の3ステップ
- 【4月】年間予定表が出たら「即」カレンダーに色分け登録 学校から年間予定表(A4一枚の紙です)を受け取ったら、その日のうちに自分のGoogleカレンダーに全て転記します。
- A(赤色):運動会・入学式など(絶対休む)
- B(黄色):参観日・個人面談(半休 or 在宅)
- C(青色):クラブ発表など(時間が合えば) この色分けで、瞬時に判断できるようにします。
- A(赤色):運動会・入学式など(絶対休む)
- 【3ヶ月前】「A行事」は上長へ「口頭相談」 「〇月の運動会ですが、繁忙期と重なりますでしょうか? もしそうなら、今のうちから業務を前倒しします」と、3ヶ月前に「相談」します。これで相手に「準備する時間」を与え、味方につけます。
- 【1ヶ月前】「申請」と「代替案」をセットで提出 正式申請時には、必ず「業務フォロー体制」を明記します。(詳細は後述の連絡テンプレで)
行事別・私の「当日運用」テンプレ(失敗と改善)
計画を立てても、当日バタバタでは意味がありません。 ここでも私は、数々の失敗を重ねました。
【参観日】失敗:上履きを忘れ、先生に何も聞けず帰宅
あの「電話が鳴りやまなかった」最初の参観日。 私は慌てすぎて、保護者用の「上履き」と「名札」を忘れ、教室の後ろの隅で、靴下のまま小さくなっていました。 授業後、先生に何か聞きたくても、仕事のトラブルが気になって結局何も話せず帰宅。最悪でした。
【改善後のテンプレ】
- 前夜: 「上履き・名札・スマホ(+予備バッテリー)・ハンカチ」をエコバッグにセットし、玄関に置く。
- 当日朝: 朝の準備は、シングルマザーの朝のルーティン で確立した「15分」で終わらせ、家事タスクはゼロにする。
- 授業後: 先生に聞く質問は「1つだけ」スマホのメモに書いていく。
- (NG例)「最近どうですか?」
- (OK例)「家での音読練習についてですが、具体的にどう進めれば良いですか?」
- 帰宅後: 子どもへ「具体的な褒め言葉」を1つ伝える。「ノートの字が丁寧だったね。あの宿題、一緒にやってみようか」と、子どもの宿題サポート に繋げます。
【個人面談】失敗:緊張して世間話で終わり、聞きたいことが聞けない
15分しかない個人面談。 私は緊張のあまり、先生の世間話に「そうですね」と相槌を打っているうちに、肝心の「息子の友達関係」について聞けずに終わってしまいました。
【改善後のテンプレ】
- 準備: A5のノートに「質問メモ」を書いて持参し、机の上に置きます。
- (感謝)「いつもありがとうございます。〇〇(息子の具体的なエピソード)で助かっています」
- (質問:学習)「宿題の〇〇でつまずいています。学校での様子はどうですか?」
- (質問:生活・友人)「最近、〇〇くんの話をしますが、トラブルはありませんか?」(※子どもの友達付き合い で気になる点を連携)
- (共有)「家では仕事と家事の両立 のため、こういう時間割で動いています」と家庭の状況も共有します。
- (感謝)「いつもありがとうございます。〇〇(息子の具体的なエピソード)で助かっています」
私が実際に使っている「連絡テンプレ」と「想定外」への備え
準備を万全にしても、想定外は起こります。 特に「雨天順延」と「子どもの発熱」は最大の敵です。
「角が立たない」会社への連絡テンプレ(コピペ可)
ポイントは「感謝」と「業務フォローの意思」を必ず添えることです。
件名: 【半休申請】〇/〇(水)子どもの学校行事参加のため(〇〇部・yu_ka) 本文: 〇〇部長
お疲れ様です。yu_kaです。 先日ご相談しておりました、〇月〇日(水)の息子の参観日参加のため、午後(13:00–17:00)の半休を申請いたします。
当日の業務は、△△の資料作成を午前中に完了させ、共有フォルダに格納します。 緊急のご連絡は携帯電話(またはSlack)にて対応可能です。
ご調整いただき感謝いたします。 ご不便をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
最大の敵:「雨天順延」と「子どもの発熱」
- 雨天順延: これで大失敗しました。運動会の当日、雨で順延。予備日(翌日)の休みを上司に伝えておらず、朝から大慌てで謝罪電話をしました。
- →改善: 運動会や遠足の申請時は、必ず「予備日もセットで」カレンダーに登録し、上司にも「A日が中止ならB日にスライドします」と伝えておきます。
- →改善: 運動会や遠足の申請時は、必ず「予備日もセットで」カレンダーに登録し、上司にも「A日が中止ならB日にスライドします」と伝えておきます。
- 子どもの発熱: こればかりは防げません。
- →改善: 「行けなくなったら」を想定し、祖父母やファミサポ(一時預かり)など、代替参加者の候補と連絡先を決めておきます。いざという時に頼れる制度は、シングルマザーが助かった支援制度 の記事にもまとめています。
まとめ:「先手の設計」が、私と子どもの笑顔を守る
シングルマザーが仕事と行事を両立するのは「ミッション」です。 でも、準備(設計)があれば、必ず乗り越えられます。
私がここまで「先手」を打つのは、会社に迷惑をかけたくないから、という理由だけではありません。 すべては、「行事の当日、仕事の心配を一切せず、息子の姿だけを100%の笑顔で見るため」です。
この「先手の設計」こそが、私の心と時間を守ってくれる最大のお守りになっています。
