子どもを起こし、朝食を食べさせ、持ち物を確認し、出発時間に間に合わせる…。
フルタイムで働き始めた頃の私にとって、朝は“短距離走を何本も走る”ような時間でした。 いえ、もっとひどく、毎朝のように「早くしなさい!」「また忘れてる!」とイライラを爆発させ、息子の半泣きの顔を見ては「また怒ってしまった…」と自己嫌悪に陥る、最悪のスタートでした。
そこから抜け出せたのは、ある日、「朝に頑張る」のをキッパリと諦めたからです。
朝は、親子ともに頭が働いていません。そんな時間帯に「判断」や「作業」を詰め込むからパンクする。 ならば、勝負はすべて「前夜」につける。 朝は、親子で「確認するだけ」「流れ作業で動くだけ」の状態にしてしまおう。
そうしてたどり着いたのが、我が家で今、安定して回っている**「前夜30分+朝15分」の二段構えの仕組み**です。
この記事は、一般的な「時短術ノウハウ」ではありません。 私が実際に何度も失敗し、試行錯誤してたどり着いた、「我が家のリアルな朝の“全”手順」を共有する体験談です。
なぜ朝が回らない? 私が捨てた「朝に頑張る」という幻想
私がまず変えたのは、「家事のやり方」よりも「考え方」でした。 朝の時間は「意思決定の余白がゼロ」と認識すること。これが全ての始まりでした。
この「時間の固定化」や「仕組み化」の考え方は、私の家事育児の土台になっています。 詳しくは、仕事と家事を両立するために私が取り入れた小さな工夫 の記事でも詳しく書いています。
朝にやること: 朝食準備(仕上げ)、着替えサポート、持ち物チェック
朝にやらないと決めたこと: 床掃除、洗濯(乾燥まで)、お風呂掃除
この「やらないこと」を前夜や週末に回すことで、朝のタスクを極限まで減らしました。
①勝負はここ。前夜30分の「仕込み」台本!
私は夜、息子が寝る前の30分(20:30〜21:00)を「明日の朝をラクにするための時間」と決めています。ここで翌朝の勝負は決まります。
持ち物:「登校準備ステーション」で指差し確認
以前は、朝になって「体操服がない!」「筆箱入れた?」と騒ぐのがお決まりでした。 これをゼロにするため、我が家ではIKEAの「RÅSKOG(ロースコグ)」ワゴンを「登校準備ステーション」としてリビングに置いています。
【前夜にやること】 息子と一緒に、このワゴンを使って明日の持ち物をセットします。
- 連絡帳・宿題: 私がサインした連絡帳と、終わった宿題ドリルを、セリアで買った黄色のA4クリアファイル(=提出物用ファイル)に入れます。
- 筆箱・教科書: 時間割を見ながら、親子で入れ替えます。
- ハンカチ・ティッシュ: ワゴンの中段に、無印良品の「こども用ハンカチ10枚セット」を入れたカゴを置いてあり、息子が自分で選びます。
- 体操服・給食袋: 洗濯が終わったものをセットします。
- プリント類: ①の黄色いファイルに入れます。
この「指差し5点」を完了させ、ランドセルは玄関の定位置に置きます。 この仕組みにしてから、「ママ、あれどこ?」が劇的に減りました。
朝食:「半分」ではなく「9割」作っておく
我が家の朝食は、息子のリクエストで「ごはんと味噌汁」でほぼ固定です。 朝は「温めるだけ」「よそうだけ」の状態にしておきます。
【前夜にやること】
- ごはん: お米を研いで炊飯器にセット。朝6:30に炊き上がるよう予約します。
- 味噌汁: 出汁は、茅乃舎(かやのや)のだしパックを愛用しています。前夜に鍋で出汁を取り、具材(わかめと油揚げ、切った野菜など)をタッパーに入れて冷蔵庫へ。朝はこれを鍋に入れて火にかけるだけです。
- 食器: 無印良品のアカシアプレート(お盆)の上に、「お茶碗」「汁椀」「箸」「コップ」をすべてセットし、布巾をかけて食卓に置いておきます。
朝は、炊けたごはんをよそい、温めた味噌汁を注ぐ。たったこれだけです。 栄養バランスが気になるかもしれませんが、「完璧より継続」を重視し、「週末で野菜を摂ればOK」と割り切っています。
服装:「定位置の椅子」にフルセット
「朝、何着る?」の迷い時間は最大の無駄です。 これも前夜に解決します。
【前夜にやること】 リビングにある、息子の**ダイニングチェア(ストッケのトリップトラップです)**が「明日の服の定位置」です。 そこに、「下着」「靴下」「Tシャツ」「ズボン」を、着る順番に重ねて置いておきます。
息子は朝、寝ぼけながらリビングに来て、この椅子から服を取って着替えるだけ。 この「環境を整えて自分でやってもらう」という考え方は、子どもの宿題サポートで意識していること!イライラしない工夫 で書いた「宿題を始めるための環境づくり」と全く同じです。
家事:「洗濯乾燥機」と「食洗機」の予約スイッチ
朝の家事をゼロにするため、家電の力をフル活用します。これは「手抜き」ではなく「投資」でした。
- 洗濯: 我が家は**日立のドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」**です。お風呂上がりに息子の服も全部集め、夜のうちに「洗濯〜乾燥」まで終わらせます。朝に「干す」「取り込む」作業が一切ないだけで、心の余裕がまるで違います。
- 食洗機: 夕食の食器をすべて入れ、寝る前にスイッチオン。朝起きたら、まずこの乾いた食器をしまうことから一日が始まります。
明日の「詰みポイント」を潰す
時間割や天気予報を見て、「あ、これは明日の朝バタつくぞ」という要因(=詰みポイント)を1つだけ潰します。
- (例)雨予報なら: 息子の長靴とレインコートを、玄関の一番目立つ場所に出しておきます。
- (例)図工がある日なら: 新聞紙や絵の具セットを、玄関のシューズクロークの一番手前に移動させておきます。
- (例)集金がある日なら: 連絡袋に入れる封筒を、食卓のアカシアプレート(お盆)の上に置いておきます。
②流れ作業でOK。朝15分の「タイムライン」実況
前夜の仕込みが完璧なら、朝は15分で家を出られます。 「0:00-2:00」のような指示書ではなく、我が家のリアルなタイムライン(実況)はこんな感じです。
- 6:30 私、起床 カーテンを開けて光を入れます。炊飯器から良い匂いがしているのを確認。まず白湯を一杯飲みます。
- 6:35 息子を起こす 声かけは優しく。「〇〇(息子の名前)、朝だよ。ごはんの良い匂いするよー」
- 6:40-6:45(5分) 着替え・洗面 息子がリビングの椅子にセットした服に着替えている間に、私は前夜に準備した味噌汁の具を鍋に入れ、火にかけます。
- 6:45-6:55(10分) 朝食 メニューは固定(ごはん、味噌汁、昨日の残りの唐揚げ or 納豆)。 私は息子の隣でコーヒーを飲みながら、今日の予定を軽く話します。
- 6:55-7:00(5分) 歯磨き・最終確認 二人で並んで歯磨き。 終わったら、玄関のランドセル前で「指差し5点」を一緒に声出し確認。「れんらくちょう、OK!」「しゅくだい、OK!」
- 7:00 出発 「いってきます!」と笑顔でハイタッチ。
③現実。つまずき別の「リカバリー策」
とはいえ、毎日こんなに上手くいくわけがありません。 「寝坊した」「子どもが不機嫌」な日はもちろんあります。そんな時のための、我が家の具体的なリカバリー策です。
ケース1:私が寝坊した!
先週、盛大に寝坊しました。そんな「詰んだ」日のために、冷凍庫には「緊急用おにぎり(鮭と昆布)」と、「自家製味噌玉(味噌と乾燥わかめとネギを丸めたもの)」を常備しています。
息子には「ごめん!ママ寝坊した!今日はおにぎり!」と謝り、お湯を注いだ味噌玉スープと一緒に車の中で食べさせました。 完璧を目指さない。リカバリー策を準備しておくことが、心の安定に繋がります。
ケース2:息子が不機嫌で動かない
「服がチクチクする」「靴下が嫌だ」…ありますよね。 育児書どおり「AとBどっちにする?」と聞いてもダメな時。
そんな時は、ルーティンを一旦諦めます。 子どもの友達付き合いで気をつけていること の記事でも書きましたが、私はまず「気持ちのケア」を優先します。
「どうしたの?何か嫌なことあった?」と声をかけ、話を聞く。 結果、5分遅刻することはありますが、朝から親子ゲンカして一日中引きずるより、よっぽどマシだと割り切っています。
Q&A:我が家の「朝ルーティン」よくある質問
Q. 朝食が毎回マンネリ…栄養は大丈夫?
A. 私も最初は悩みました。 しかし、私は「一食」ではなく「一週間」で栄養バランスが整えばOK、という考え方に切り替えました。 朝は「機嫌よく・時間内に食べられること」を最優先。その分、週末に果物や野菜をたっぷり使った料理を作ります。
Q. それでもイライラが消えません…
A. 消えませんよね(笑)私も今でもイラっとすることはあります。 でも、この「前夜の仕組み」を導入してから、朝に「判断」することがゼロになったので、イライラの「原因」は格段に減りました。
朝は「努力」や「根性」で乗り切るのではなく、「設計」で乗り切る。それが私の結論です。
まとめ:「仕組み」が、朝の「機嫌」を守ってくれる
朝は、母親にとって一日の精神状態を決める大事な時間です。 そこでイライラしてしまうと、仕事にも影響し、自己嫌EOt” >悪に陥ります。
私は、完璧な朝食や完璧な家事を目指すのをやめました。 その代わりに、前夜の30分を投資して「朝は何も考えなくても回る仕組み」を作りました。
その結果、朝の「早くしなさい!」という怒鳴り声が、「いってらっしゃい!」のハイタッチに変わりました。 この記事が、毎朝戦っているあなたのお守りのような「仕組み」づくりの参考になれば幸いです。
